Stealには「Hexagon」という代表商品があります。
発売したのは2010年5月22日。
私の32歳の誕生日でもあり、長女が生まれた年でもあります。
そして、この年はStealが全国展開を始めた年でもありました。
実はこのHexagon、最初から売れることを狙って作りました。
もちろん、「六角形なら売れる。」なんてことを
考えていたわけではありません。
狙っていたのは、Stealを代表する商品を作ること。
そして当時、一番母数が大きかった
コインケース市場で勝負することでした。
当時はキャッシュレスが当たり前の時代ではありません。
(SuicaやPASMOなどはありましたが)
ほとんどの人がコインケースを持っていました。
だから市場は決めていました。
でも、その中に普通のコインケースを
作っても意味がありません。
というか目立てません。
「Stealらしいものを作ろう。」
そこからが本当のスタートでした。
最初に考えたのは星(五芒星)です。
札幌と言えば、一番星。
そんなイメージから描き始めました。
でも、何度描いても違和感がある。
もっと美しい形にならないか。
星を六芒星に変えてみました。
六芒星は全方向が対称です。
商品として見た時に、とても美しいと感じました。
さらに、ボタンの位置も何度も変え細かく調整しました。
理由は見た目だけではありません。
私はいろんなコインケースを触りました。
手に収まるサイズ。
開きやすさ。
閉じた時の感覚。
ずっと触っていたくなる形。
その中で、
「これならNo.1だ。」
と思える手触りを探し続けました。
デザインというより、感覚の設計だったんですね。
価格も考えました。
実は原価から追うと12,000円位だったんです。
でも、ここにも捻りを入れたかったので
発売当時の値段は本体価格9,250円。
消費税8%で9,990円。
6角形だから、6をひっくり返して9。
そんな遊び心も入れました。
さらに外側の「Star」と内側の「Hexagon」を
自由に組み合わせられるようにして、
約1万通りの組み合わせを楽しめるコインケース
として発売しました。
そして思った通り、多くの方に選んでいただけました。
展示会でも。
取引先でも。
一般のお客様にも。
Stealを代表する商品になりました。
最近、このHexagonを振り返る機会がありました。
その時に気付いたことがあります。
私は商品を作っていたというより、
「知ってもらうための設計」
をしていたんじゃないか、と。
市場を考える。
違和感を探す。
価値を書き換える。
でも、お客様にはちゃんと「コインケース」として伝える。
今振り返ると、無意識にそんなことを考えていた気がします。
Stealでよく使う言葉に「とんちデザイン」があります。
面白い形を作ることではありません。
どうしたら知ってもらえるのか。
どうしたら心に残るのか。
どうしたら「なんだこれ?」と思ってもらえるのか。
そこまで考えて初めて、デザインになる。
私にとっての「とんちデザイン」は
そういうことだと思っています。