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コバの仕上げについて

ブリーフケースのコバ画像
ブリーフケースのコバ画像

いつもスティールのブログを見てくれてありがとうございます。
本日は革製品を作る工程の一つ「コバの仕上げ方(コバ処理)」についてお話しさせていただこうと思います。

製品作りに携わらない方も、仕上げの種類を知ることで自分に合った製品を見つけるヒントになると思いますので、ぜひご覧ください。

「コバ」とは?

コバ処理の道具たち
コバ処理の道具たち

まず初めに、コバとは何かという話からなのですが、コバ処理の「コバ」とは、革の裁断面の事を指しています。
コバ処理とは、革の裁断面であるコバを綺麗に処理することを言います。
漢字では「木端」と書き、木材の裁断面を意味する言葉がそのまま革にも使われるようになったと言われています。
コバ処理の方法にも様々あるのですが、Steal Leather Industryでは、コバの仕上げは切目製法をメインで行なっています。
コバ処理の種類については以下のようなものが有ります。

コバ処理方法の種類

コバ処理方法には様々な種類がありますが、ここでは代表的なものを挙げてみます。

ヘリ返し参考画像
ヘリ返し参考画像

ヘリ返し製法…革の端を薄くして、巻きつけることで断面を隠す方法


切目製法…複数枚の革を重ね縫い合わせる方法。大きく3種類あります

①生成仕上げ→軽くヤスリをかけナチュラルさを残す方法→切りっぱなしに近い

生成仕上げ参考画像
生成仕上げ参考画像

②磨き仕上げ→布海苔などを塗布して顔料を使わずに磨き上げていく方法

磨き仕上げ参考画像
磨き仕上げ参考画像

③コバ塗り仕上げ→顔料を塗布して断面を均一にコーティングして仕上げる方法

コバ塗り仕上げ参考画像
コバ塗り仕上げ参考画像

このようにコバ処理は大きく、「へり返し製法」と「切目製法」に分けられます。
それぞれに特徴がありますのでそれぞれの特徴をみてみましょう。

ヘリ返し製法の特徴

ヘリ返し製品参考画像
ヘリ返し製品参考画像

へり返し製法は製造の過程で比較的処理しやすく、他のコバ処理よりも早く仕上げることが可能です。追加する材料もないため、価格も安く抑えられることが多いです。
また本体部分と同一の素材になることでデザインにおける統一性が出るというメリットも有ります。
ただ、革の端を薄くしているため、切目製法に比べると強度と耐久性が弱く、一枚の革でできているため破けてしまうと修復ができないという弱点も有ります。

このような特徴から、へり返し製法が使われている革製品は、
1,2年くらいで買い替えるような製品に向いており、エイジングしない革に向いているということになります。
※エイジングする革、しない革については別の記事で詳しく解説しております。
参考リンク:エイジングする革、しない革について

切目製法の特徴

切目製法で仕上げた製品例
切目製法で仕上げた製品例

切目製法は上にも挙げているように複数の革を重ね合わせたり、コバ面に顔料を塗布したりすることで仕上げていく製法ですので、へり返し製法と比べて強度が強く、剥がれたりすり減ってきた際にもメンテナンスを行うことで直すことができるというメリットが有ります。
ただ、革を重ね合わせたり、布海苔や顔料などを塗布してその断面を均一に仕上げるには材質、気温などによって時間を変えたりと、職人の感覚と時間が必要となります。
その分コストがかかるという特徴があります。

従って、切り目製法を使った革製品はメンテナンスしながらも長く使えるもの→エイジングする革に向いているということになります。

私たちの考え方

モノは基本カドから壊れる

角から壊れている画像
角から壊れている画像

長く革製品を扱い、多くのお客様のお財布などのメンテナンスをさせていただく中で、私たちが感じていることですが、基本的にはカド、フチの部分から破損していく製品が
非常に多いように思います。もちろん程度に差はありますが、これは気をつけながら大切に使用していただいていてもどうしても起きてしまうことと考えています。
ですので、製品を壊れにくくするには、カドに丸みをつけてあげたり、カドにコーティングがあると、革本体は守られるので製品の持ちが良くなると考えています。
そのような考えからスティールレザーインダストリーの商品には、切目製法で仕上げられた製品が多くなっております。

Steal代表商品画像
Steal代表商品画像

切目製法の製品は丁寧に扱いながら、メンテナンスを行なってあげることでより長く使用しながら製品を育てていくことができることが魅力です。
仕上げごとのメンテナンス方法は、以下のイメージでお考えください。

コバ塗り仕上げの製品は、長く使用する中で、コーティングが剥がれたりすることもありますので、塗り直しなどの定期的なメンテナンスが長く愛用していただくポイントになります。
※スティールでご購入いただいた製品は、無料で塗りなおし対応させていただいております。

磨き仕上げの製品は、同様に定期的なメンテナンスが必要ですが、ご自分でメンテナンスも可能です。木の棒で磨いたりという作業が必要になります。
※スティールにお越しいただければメンテナンス方法をレクチャー致します。

生成仕上げの製品は仕上げの特性上、革にダメージを直接受けることになるので、日常のご使用から気に掛けてあげる必要があります。

製品の雰囲気では、生成仕上げが最もカジュアルな雰囲気になり、フォーマルな雰囲気にはコバ塗りが向いております。

まとめ

いかがでしたか?同じような革製品でも、コバの仕上げ方法だけでもこんなにたくさんの種類があり、それぞれに特徴があります。これが革製品の難しいところでもあり、面白さだと思います。
お好きな方はご自身で色々な製品を見てみていただくことをオススメします。「難しそうだな。」と考えている方は、是非スティールにお越しいただいて、
「こんな感じで使うのでオススメを教えて欲しい」
「今までの財布はこんなふうに使っていました」
「私ってこういう性格なんですけど、オススメありますか?」
など、相談していただければその方にあった製品や使い方をご提案させていただきますので安心してください!
今回の記事が、皆様にとって愛着のある逸品と出会うためのきっかけになりましたら嬉しいです。
最後までご覧いただきありがとうございました。

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