Column

Steal Leather Industryの生い立ちについて

いつもSteal Leather Industryのブログをご覧いただきありがとうございます。
さて、今回は革のお話というよりは、お店についてのことを書きたいと思います。自分のことを話すのは少し恥ずかしい気もしますが、皆さまに私達のことを知っていただきたい。そんな気持ちを込めて、スティールってどうしてできたの?どんな思いで営業しているの?ということをお伝えできればと思います。

我々のような個人店で、初めてのお店って少し気が張って入り辛かったりするものですが、是非気軽に遊びに来る感覚でご来店していただきたいと思っています。

きっかけ〜運命の財布で人生が変わる

革製品作りのキッカケとなった財布
革製品作りのキッカケとなった財布

Steal Leather Industryというお店が誕生するのは、店主である私(江越)が革の世界と出会うことから始まります。

私は小さい頃から革が大好きで、子供の頃からいつかは革を扱う職人になりたい!と願っていた訳ではなく、若い頃は、そこまで革というものに関心がありませんでした。
ある時、彼女に「PORTER」の財布をプレゼントして貰い、大事に使っていたのですが長く使っていたのでボロボロになっていました。
そんな時、また彼女が誕生日に財布をプレゼントしてくれることになりました。モノを大切に長く使う私の性格を考えて、革製の財布オーダーを見つけてきてくれたのです。
忘れもしませんが、名古屋の商店街にある「ALZUNI アルズニ」というSHOPで財布をオーダーさせていただきました(当時は愛知県に住んでいました)。これが私にとって人生初のいわゆる「革財布」を手に入れた経験となりました。

そしてこのプレゼントされた財布をきっかけに、私の人生は大きく変わっていくこととなります。

もちろんプレゼントされたものということもあり、とても嬉しく、大切に使っていく中で、革財布の経年変化というもの、いわゆる革を育てていくことにハマりました。
お手入れをしたり、毎日使っていくことで良い感じのアジが出ていくことが嬉しく、どんどん愛着が増していって、最終的には枕元に置いて寝るほどにハマっていきました。笑

財布パーツの分解画像
財布パーツの分解画像

財布への愛はどんどん高まっていく中で、私はふと、この財布がどんな作りになっているのかが気になり始めました。そして私はその財布を分解してみることにしました。
分解してみると、今思えば当然とも言えるほど基本的なことでも、「ああ、ここってこういう構造になっていたんだ」「ここはこんなふうに縫われていたんだ」という感動があった事を覚えています。
ひとしきり分解が終わり、戻そうと思った時に、そのまま戻すのは勿体無いという気持ちになり、思い切ってカスタムしてみようと思い、革の素材を変更してみたり素人ながらに見よう見まねで自分の財布をさらに好みのものにカスタムしてみました。

そしてカスタムしたその財布を使っていると、職場の仲間や、友人達から「財布かっこいいね」「どこの財布?」などと声をかけられることが多くなりました。
そうする間に、「俺のも作ってよ」という依頼を受けて作ってあげると、
同じようにその人も評判になってまたその紹介の依頼がくるということになって、どんどん財布製作の依頼が来るようになっていきました。

これが私の革の世界との最初の繋がりになっていきます。

創業〜人に喜ばれる事こそ生きがい

飲食店で働いていた頃の当社代表江越
飲食店で働いていた頃の当社代表江越

20代前半の私は元々真剣に取り組んでいた、男子新体操を続けて指導者の道を目指すか、それとも仲のいい仲間達が集まって、ワイワイ楽しい時間を過ごせる居酒屋の店主になるという夢かを迷っていましたが「人に喜んでもらえることに生きがいを感じ」飲食の世界を目指すこととしました。

自分の店を持つ為の費用を稼ぐために愛知県で出稼ぎをしていた頃、先述の依頼を受けて財布を作るという事をやっていたことで、これまでは考えていなかった革の世界に進む事も少しずつ考えるようになりました。
作った財布を渡した時に、とても嬉しそうに喜んでくれたり「周りから財布を褒められた」というお話を嬉しそうに話してくださるのをみて、料理の世界に進んだ時に思っていた、「人に喜んでもらえることが生きがい」という自分の信念は革の世界も同じだったんだ!ということに気がつき、革の世界へ進んでみる決心をして、2005年、故郷の札幌に戻り開業をすることにしました。

発展〜駆け抜けた全国展開までの道のり

札幌に戻り開業をすることにした私は本格的に革製品づくりを始めるならブランドを持っていたほうがいいと考え、
スティール=人の心を盗む+革製品=レザー+工房併設のお店=インダストリー
ということで、「Steal Leather Industry スティールレザーインダストリー」というブランドを立ち上げました。

開業時の札幌本店
開業時の札幌本店

看板もホームセンターで買ってきたペンキで手書きして、内装も全てわからないながら自分で作り、工房も含めて10坪に満たない小さいお店でしたが、札幌の北24条エリアに自分のお店をOPENさせることができました。
27歳、2005年7月1日。店舗としてのSteal Leather Industryの誕生でした。

自分のお店が出来てからは現在の方針でもあるお客様とのコミュニケーションということに重点をおいて、お客様と一緒にお客様の思う理想の商品を作っていくようになりました。
一般的に修行期間のようなものがあるのだと思いますが、私には師と仰げる人はおらず、30年修行して習得する知識や技術を5年で習得するには人の6倍やるしかない。そう思い寝る間も惜しんでとにかく製品を作っていきました。
新しい製品に挑戦するときは原点でもある、分解して構造を理解して真似るところから始めて一つひとつ作れる製品を増やしていきました。

現在の札幌本店
現在の札幌本店

とにかくガムシャラに数をこなしながら質を高めていく中で、順調に売り上げは伸びていき、自分自身でも胸をはって皆様に届けられる商品ができたという自身が持てるようになってきた2010年頃、現在の場所に拡大移転をし、さらには全国展開へと踏み切っていきました。

挫折〜拡大と共に見失っていた事

他店舗展開していた頃のSteal渋谷店
多店舗展開していた頃のSteal渋谷店

順調に会社が大きくなり、店舗も徐々に拡大していきました。
この当時はとにかく猛烈に働き、スタッフ達にも同じように猛烈に働いてもらっていました。
しかし、あるときふと、お客様は幸せになっているけれど、自分自身やスタッフ達は幸せになれているのか?と問うようになりました。
お客様とのコミュニケーションを大切にし、お客様と共に商品を作っていくことが店舗展開により難しくなっていき、勝手な想像で製品をお作りしてお渡ししているということも感じるようになってきました。
スタッフ教育や店舗マネジメントなど、これまでにはやってこなかった課題に直面し、2017年頃を目処に札幌のみの店舗展開に戻っていきました。

店舗から工房方向の画像
店舗から工房方向の画像

札幌のみの展開に戻ってからは、もう一度原点に立ち返り、お客様とのコミュニケーションを大切にできるよう心がけてきました。
どんなところでどのように製品が作られているかを知っていただけるように工房を併設し、ガラス張りにして売り場から工房が覗けるようにしたり、職人が直接接客できるようにしたりと工夫を凝らしてこれまでやってまいりました。

そして現在へ

現在では、工房を併設し職人が接客に携わることが我々の特徴にもなっていると感じています。
具体的には、お客様の要望や希望をお聞きし、この製品を使うことでどんな未来を想像しているのかをお聞き(想像も)できます。直接お話を聞くことで、お客様が話している本質は何か。言いたい事を全て言えているか。を感じることができます。

オーダーメイド受注時の風景
オーダーメイド受注時の風景

また、その場で材料をお見せすることができますので、素材の段階で革素材自体の質感や雰囲気、ボタンなどの金物や縫い糸に至るまで全てをご覧いただくことで、より理想に近い製品オーダーをお受けすることができるようになりました。

新喜皮革のコードバン
新喜皮革のコードバン

細かい部分では、お客様の細かなオーダーに対して、直接職人が対応することで、構造上のメリットやデメリットを即時に予測してお話し出来ます。
例えばカードが50枚入るお財布を作りたい。という要望があった時に、どのようにしたら実現できるかを丁寧にご案内させていただきます。

まとめ

いかがでしたか。今回は長くなってしまいましたが、我々Steal Leather Industryのこれまでについてざっくりと書かせていただきました。
この記事を読んで興味を持って頂けた方がいらっしゃいましたら、是非お店に直接足を運んでみてください。

本店はとても目立ちますが、入り口の階段を上がる勇気が出ない、なんか怖い。というイメージもあるかも知れません。
そんな思いを少しでも払拭できればと思いこの記事を書かせていただきました。

本当はお話し好きなスタッフが集まるカジュアルなお店ですので是非一度遊びに来てみてください。

これからもSteal Leather Industryをよろしくお願いいたします。

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