レザーで製品を作ろうとした場合、作り手はその用途や見た目の美しさ、使い勝手や丈夫さなどの目的に合わせて、どんなレザーが適しているのかを見極め、利用しなければなりません。種類も特徴も様々ありますので、簡単に見ていきましょう。

最も多く生産され、利用される革。脂腺、汗腺が少なく密集した繊維質を持ち、一般に強度が高く幅広い用途で利用する事ができます。中でも年齢別に分類され、生後6カ月未満をカーフ、生後6ヶ月以上で成牛に満たない大きさのものをキップと呼び、成牛皮は性別によってステア(生後数ヶ月で去勢された雄牛)、ブル(雄牛)、カウ(雌牛)、ヘイファー(出産を経験していない雌牛)と呼ばれます。小さいと繊維質が柔らかくキメが細やかで、大きくなると革に厚みが出て革の面も広くなり、強度に優れるようになります。

体毛を持つ哺乳類の皮は表皮、乳頭層、網状層の3層構造からなり、毛根は乳頭層までしか到達しません。しかし豚の毛は剛毛で、ひとつの毛穴から3本がまとまって生え、毛根は網状層を超え皮下組織にまで到達します。よって革全体に小さな空気穴があり、通気性に優れています。ベンズと呼ばれるおしりの革はほかの部位に比べて繊維の束が太く密度が高いため、硬く柔軟性に欠けますが、組織を構成するコラーゲン繊維が牛のものより細く緻密であるため、バフィングという革にヤスリをかける工程を経ることでキメの細かなスエードが得られます。

牛や豚に比べて革を形成するコラーゲン繊維同士の密着が緩いため、強度がなく丈夫さに欠けるものの、薄くて柔らかく、肌触りの良いことから衣料品や手袋の材料として使われることが多いのが特徴です。生後1年未満をラム、それ以上になればシープと呼び、そのどちらをも原料とするムートンという毛皮は古くからコートやブーツに好んで使われています。

山羊

子ヤギの皮はキッドスキンと呼ばれ、羊皮紙の原材料にも用いられた歴史があります。脂肪分の少ない柔軟性に富んだ革は美しい銀面(革の表面)をもっており、高級靴や高級手袋に用いられる素材です。成長しゴートスキンと呼ばれるようになると、表面に特徴的な凹凸が表れ、羊皮より緻密な繊維組織を持つため強度の高い、耐摩耗性に優れた革として用途の幅が広がります。

馬革は一般に革の三層構造のどの層も薄く、大判であるのが特徴です。靴用や衣料用に利用されることもありますが、馬革と言えばコードバンが有名でしょう。重量馬の馬皮の中でも、ベンズの部分を植物タンニンで鞣した後、銀面と肉面(銀面の裏側)の両方を取り除き、取り出したシェルと呼ばれる緻密な内層を、強く光沢を持つまで磨き上げ仕上げた革のことをコードバンと言います。ごくわずかな量しか得ることができないため希少性が高く、価格も高騰傾向にあります。しかし人気も根強く、紳士靴やランドセル、革小物や時計バンド等に利用されているのです。

家畜の革以外に、野生動物の革も材料として人気があります。しかし、たとえば鞄をひとつ作りたいと思っても、作るのに必要なだけの量がその動物のサイズや希少性から手に入らない場合があります。ワシントン条約によって保護されている動物も多くいるため、革の材料には養殖のものが主に使用されています。

ワニ

代表的な爬虫類皮革です。わかっているだけで23種いるワニの中でも、主に革として利用されるのは7種程度です。ワニの背中側を割って、お腹側の鱗を生かした革を肚(はら)ワニ、お腹側を割って、背中のゴツゴツとした凹凸を生かした革を背ワニと言います。ワニの種類によってクロコダイル、アリゲーターと大まかな呼び方が決まっており、作る製品に合わせて革を選ぶことで、同じワニでも表情が異なります。

リザード

小型の恐竜とも言われるトカゲの革。3751種もいるとされるトカゲの中でも、ワシントン条約により取引可能なのはわずか9種類。独特でワニよりも細かな鱗模様が人気の革で、個体の持つ斑点模様をそのまま生かしたり、薬品で模様を消して鱗模様だけを楽しんだりと、シーンによって使い方は様々です。

ヘビ

ワニやリザードよりも取引できる種類が多く、ブランドバッグや財布のアクセント、ブーツに使われるなどファッションシーンで活躍する革です。軽く、柔軟性に富んでいるのが特徴で、小さい種をスネーク、個体として大きくなるものをパイソンと呼びます。

オーストリッチ

ダチョウの革。体高およそ2.5メートル、体重およそ120キロにもなる大型の飛べない鳥で、野生では個体数が減少してきているため、革として輸入されるもののほとんどは南アフリカで養殖されたものです。革には、クイルマークと呼ばれる羽毛を抜いたあとの丸みのある突起した軸跡があり、それが美しく揃っているのは革全体の40パーセント程度。そのユニークな形状と革の強靭性、重厚さから、女性もののブランドバッグに好んで使用されます。また、爬虫類に似た鱗模様を持つ脚部の革はレッグスキンと呼ばれ、こちらも革として利用されています。

エレファント

ゾウの革で、現存する2種のゾウのうちアジアゾウは取引ができませんが、アフリカゾウは取引が可能です。しかしワシントン条約による厳しい輸出入のルールがあります。革としては厚く、かなりの強度を持ちます。ゾウは体が大きいので鼻、耳、ボディに切り分けられ、それぞれの部位に特徴的なヒダ、シワをもっており、粒状に隆起した銀面はゾウのみが持つ美しさです。

その他には、毛皮としても使われるアザラシやオットセイの革を指すシール、サメの硬い表皮を柔らかく鞣し網目模様が特徴のシャーク、石のように硬い表皮とトゲを取り除き楕円状の模様が連なるエイの革であるスティングレイ、うっすらと起毛した銀面を持ち滑らかで丈夫なカバ革、イノシシの仲間であるペッカリーの革も利用されているようです。